ALIVEフレームワーク
「SMART」と「ALIVE」という2つの目標設定フレームワーク
1. SMART目標
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概要:目標を「達成しやすく、明確にする」ための基本フレームワーク。
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構成(各頭文字の意味):
項目 | 意味 | 解説 |
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Specific | 具体的であること | 「何を、誰が、どこで」など明確にする |
Measurable | 測定可能であること | 数字や進捗で確認できるようにする |
Achievable | 達成可能であること | 現実的で、行動に移せる目標にする |
Relevant | 関連性があること | 自分の価値観や上位目標と合っているか |
Time-bound | 期限があること | 「いつまでに」達成するのかを明確にする |
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例:
✗「もっと勉強する」 →
○「1ヶ月以内にTOEICの模試を3回解く」
2. ALIVE目標
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概要:SMARTよりも感情やモチベーションに重点を置いた目標設定法。コーチングや自己成長分野で注目されることがあります。
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構成(流派によって多少変化がありますが、一般的な例を紹介):
項目 | 意味 | 解説 |
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Aspiring | 志がある/わくわくする | 自分が本当にやりたいことか?夢があるか? |
Lively | 生き生きしている/情熱的 | 感情的に動かされるか?ワクワクするか? |
Inspired | インスパイアされる | 他人にも良い影響を与えるか? |
Value-based | 価値に基づいている | 自分の大切にしている信念と一致しているか? |
Energizing | エネルギーが湧く | 行動するモチベーションが持続しそうか? |
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例:
✗「昇進したい」 →
○「自分のチームの強みを活かして、皆が楽しく成果を出せる職場を作る」
比較すると:
特徴 | SMART | ALIVE |
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重視するもの | 論理性・計画性 | 感情・モチベーション |
用途 | ビジネス、業務目標など | 自己成長、ライフプランなど |
長所 | 実行力・明確性 | 継続力・情熱の維持 |
大きな目標、小さな目標への納得感
✅ 納得感チェックワークシート
🔷 1. 大きな目標(ビジョン・長期目標)編
項目 | 質問 | あなたの答え |
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🎯 目的・意味 | なぜこの目標を達成したいのか? | |
❤️ 感情とのつながり | この目標を思うとワクワクする?やりたいと思える? | |
🌱 理想の自分像との一致 | この目標が達成されたら、どんな自分になれている? | |
🤝 社会性・他者貢献 | 誰のために?社会にどんな良い影響を与える? | |
📈 長期的価値 | 5年後・10年後もこの目標は意味がある? | |
🛠 現実とのバランス | 今の自分にとって、現実的なチャレンジになっている? |
🔹 2. 小さな目標(行動レベル・短期目標)編
項目 | 質問 | あなたの答え |
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🔗 上位目標とのつながり | この目標はどの大きな目標とつながっている? | |
🎯 具体性・明確さ | いつ、どこで、何を、どのくらいやる? | |
⚖️ 実行可能性 | 今の自分の状況で無理なく実行できる? | |
📊 成果のイメージ | この行動によって、どんな良いことが起きる? | |
💡 モチベーション源 | これは自分が「やりたい」と思っていること? | |
🔁 継続性 | 毎日または定期的に続けられる形になっている? |
🧭 3. 自己対話ゾーン(大・小どちらにも共通)
- 「この目標を立てなかったら、どうなる?」
- 「この目標が実現したとき、誰に一番伝えたい?」
- 「これは本当に“自分の目標”か?誰かに期待されているだけでは?」
- 「一言でこの目標を表すなら何?」
納得感の考え方
大きな目標(ビジョンや夢)と小さな目標(行動レベルの目標)に対して納得感(腹落ち感)を得るためには、それぞれに応じた視点や問いを整理して考えることが大切です。以下に、両者に共通する視点とそれぞれ特有のポイントを分けてまとめます。
✅ 共通して考えるべき視点(大・小どちらにも有効)
視点 | 内容 |
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目的・意味 | なぜこの目標を立てたのか?何のために? |
自分との一致 | 自分の価値観・強み・ライフスタイルに合っているか? |
感情的納得 | この目標を聞いて、自分はワクワクするか?やる気が出るか? |
現実性 | 自分の環境・能力・時間で実行可能か? |
ストーリー性 | この目標は、自分の人生・キャリアにどうつながるか? |
🎯 大きな目標(ビジョン・人生目標など)に対する納得感
考えるべきポイント:
ポイント | 説明 |
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なぜそれを達成したいのか?(Why) | 外発的な動機ではなく、内発的な動機があるか? |
誰の役に立つのか? | 自分以外の誰かとの関係や社会性があるか? |
理想の自分とつながっているか? | その目標が達成されたとき、「なりたい自分」になれているか? |
長期的に続けたいと思えるか? | 5年後、10年後でも意味があると感じられるか? |
夢と現実のバランスは? | 高すぎても低すぎてもやる気が続かない。適度なチャレンジか? |
🔧 小さな目標(行動レベル・日々のタスク)に対する納得感
考えるべきポイント:
ポイント | 説明 |
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上位目標とのつながりが明確か? | その行動が何のために必要なのか?上のレベルの目標に貢献しているか? |
今すぐ取り組める明確さがあるか? | 曖昧ではなく、「何を、いつ、どのくらい」が具体的に定まっているか? |
効果・成果が実感できるか? | 達成後、自分にどんなリターンがあるかが想像できるか? |
継続可能なペースか? | 無理なく続けられるステップになっているか? |
やらされ感がないか? | 誰かに強制されていないか?「自分の意思」でやっているか? |
🧭 最後に:納得感を得るための問い(セルフコーチング例)
- これは誰のための目標?
- なぜ今このタイミングでやりたいのか?
- これが達成されたら、自分はどう成長している?
- 「やらなかったらどうなる?」と考えてみると?
- 本当にこれは「自分の望み」なのか?誰かの期待ではないか?
大きな目標には意味・価値・ビジョン、小さな目標には現実性・具体性・つながりが必要です。
技術的課題と適応課題
項目 | 技術的課題(Technical Problems) | 適応課題(Adaptive Challenges) |
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特徴 | ・解決策が明確 ・既存の知識やスキル、手順で対応可能 ・専門家が対応できる ・短期で対応可能なことが多い | ・解決策が明確でない ・関係者自身の価値観 ・行動・考え方の変化が必要・専門家の知識だけでは対応できない ・時間がかかる・不確実性が高い |
例 | ・ソフトウェアのバグ修正 ・給料計算のミス対応 ・新システムの導入手順・生産工程の改善 | ・組織文化の改革 ・多様性・ダイバーシティの受け入れ・長年続いた働き方の見直し ・リーダーとしての自己変革 ・市場の変化に対応したビジネスモデルの転換 |
イメージ | 「マニュアルを見れば対応できる問題」 | 「答えを一緒に探しながら、変わる必要のある問題」 |
解決策の明確さ | 明確 | 不明確/新たに模索する必要あり |
対応する人 | 専門家や管理者 | 組織全体・当事者自身 |
必要なもの | スキル・知識・経験 | 意識変革・価値観の転換 |
対応時間 | 短期で可能 | 長期的・継続的 |
難しさの性質 | 複雑さ・量 | 人の感情・習慣の変化 |
例:働きすぎでメンバーが疲弊している | 勤務時間を短縮するルールを作る。勤怠システムを導入する。 | 「成果=長時間労働」の価値観を見直す。チームで働き方について対話する。 |
ミーティングのコツ
コツ(方法) | 具体的アクション例 |
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🔹 開始時に目的を共有する | ・冒頭で「今日のゴールは○○です」と明言する ・議題ごとに「何を決めたいか」「何を出したいか」を示す ・議題リストを画面や紙に表示する |
🔹 アイスブレークを入れる | ・「今日の気分を一言で」などのライトな自己紹介 ・「最近嬉しかったこと」などポジティブな話題を出す ・ウォームアップとしてミニアンケートやクイズを活用 |
🔹 問いかけを工夫して意見を引き出す | ・「皆さんはどう思いますか?」ではなく、「○○の立場から見ると、どう感じますか?」と具体化 ・否定されない安心感を作る(例:発言のたびにポジティブフィードバック) ・意見が出ないときは「〇択で選ぶ」といった簡易選択方式を取り入れる |
🔹 インプットでアイデアを刺激する | ・事例、トレンド、データ、画像などを先に提示 ・「他社ではこうしています」「ある研究では〜」といった参照を提示 ・あらかじめ参考資料を共有し、全員が土台知識を持った状態で話す |
🔹 あらかじめ役割・期待を付与する | ・「今日は○○さんにはこの部分をリードしてもらいます」と明示・ファシリテーター、書記、タイムキーパーなどの役割分担 ・個人に「この点で意見を出してほしい」と事前に声かけする |
🔹 終了時に「まとめ」をしっかり確認する | ・「今日決まったことは○つあります。1つ目は…」と口頭で整理・今後のアクション ・担当者・期限を明示(例:「次回までに○○さんが○○を行う」) ・議事録やメモを即時共有 or その場で画面共有しながら確認 |
組織デザイン/事業デザイン
項目 | 組織デザイン(Organization Design) | 事業デザイン(Business Design) |
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定義 | 組織が目的を達成するための構造・仕組み・役割・文化を意図的に設計すること | 新しい事業・サービス・ビジネスモデルを、ユーザー視点・戦略視点から構想・設計すること |
対象 | ・組織構造(階層、部署編成、チーム体制)・権限と責任の分配(役職・職務定義)・コミュニケーションの仕組み・意思決定のプロセス・評価・報酬制度・組織文化・価値観の浸透 | ・顧客の課題やニーズ・提供する価値(バリュープロポジション)・収益モデル(どうやって儲けるか)・プロダクト・サービスの構成・競争優位のつくり方 |
目的 | ・戦略と組織を整合させ、効率的かつ柔軟に動ける状態にする・人やチームの力を引き出し、協働を促進する | ・市場の変化に対応し、新たな価値を創出・持続させる・顧客に選ばれ、ビジネスとして成立する仕組みを作る |
例 | ・マトリクス型組織に再編してプロジェクト横断性を強化・自律的チームを導入して意思決定を分散・役割定義を見直してリーダーシップを強化 | ・スタートアップが新しいアプリを構想・試作・収益化する・既存事業にDXを取り入れて新たなサービスを立ち上げる・サブスクモデルに転換し、収益の安定化を図る |
主な問い | 「どう働くか?」「誰がどのように関わるか?」 | 「誰のどんな課題を、どう解決し、どう収益化するか?」 |
必要な視点 | 内部構造、働き方、心理的安全性、コラボレーション | 顧客視点、価値提案、差別化、マーケットフィット |
活用シーン | 組織改革、M&A、スケーリング、制度設計 | 新規事業開発、サービス改善、収益転換、市場拡張 |
相互関係 | 戦略を実行するための「器」を設計 | 戦略そのものの「中身・方向性」を構想 |